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学校法人監査

2026.1.21

【法人税】学校法人の収益事業|税務リスクと実務対応

学校法人

■ 少子化時代、収益事業をどう考えるか

少子化の影響で授業料収入が頭打ちになり、
「駐車場を貸したい」「公開講座を始めたい」など、収益事業を検討する学校法人が増えています。
一方で、

  • ・どこからが「収益事業」になるのか
  • ・法人税の申告が必要か
  • ・学校会計との区分はどうするのか

といった不安を抱えたまま、なんとなく処理しているケースも少なくありません。

本記事では、学校法人における収益事業の基本的な考え方と、実務上つまずきやすいポイントを整理します。「気づいたら過年度の法人税が未申告だった」という事態を防ぐための視点をお伝えします。

■ 学校法人の収益事業とは

学校法人は、本来は教育を主たる目的とする非営利法人です。
ただし私立学校法第26条により、教育に支障のない範囲で、収益を目的とする事業を行うことが認められています。収益は学校の経営に充てる必要があり、収益事業会計として学校会計と区分して経理することが求められます。

さらにややこしいのが「法人税法上の収益事業」です。
法人税法では、施行令で定められた34業種のいずれかを、事業場を設けて継続して営んでいる場合、その部分にのみ法人税が課税されます。

ポイントは、

  • ・私立学校法上の「収益事業」
  • ・法人税法上の「収益事業」

の範囲が必ずしも一致しないことです。
学校としては「収益事業のつもりはない」活動であっても、税務上は収益事業と判断されることがあります。


■ 代表的な収益事業と非収益事業のイメージ

学校法人が行う典型的な「収益事業」の例は次のとおりです。

  • ・不動産貸付業:学外向け月極駐車場、テナントへの教室貸しなど
  • ・物品販売業:一般向けのグッズや書籍販売、学外向け売店の運営
  • ・技芸教授業:一般社会人向け公開講座、資格取得講座、カルチャースクール
  • ・席貸業:ホール・体育館・グラウンドを外部団体に貸し出す事業

一方で、次のようなものは、条件を満たせば非収益事業として扱える場合があります。

  • ・教科書やこれに類する教材の原価頒布
  • ・園児・児童・生徒向けスクールバスの運行
  • ・学校給食法等に準じた給食
  • ・園児やその保護者だけを対象とした実費弁償方式の物品販売 等

同じ「販売」「貸付」「講座」であっても、
対価の水準や対象者、継続性などにより、収益事業かどうかの結論が変わる点に注意が必要です。


■ 実務で多い誤解と税務リスク

【具体例:英会話講座を始めたA学園】

A学園は地域住民向けに夜間の英会話講座を開始しました。
授業料収入と同じ感覚で「教育活動収入」として学校会計に計上し、収益事業会計も法人税申告もしていませんでした。

しかし、

  • ・対象は在学生に限定されていない
  • ・一般の語学スクールと同程度の受講料水準
  • ・専任の非常勤講師を配置し、通年で開講

という状況から、税務調査では「技芸教授業」に該当する収益事業と判断され、過去数年分の法人税・加算税・延滞税の納付を求められる結果となりました。

このケースから、特に次の点をチェックすることが重要といえます。

  • ・対象者:在学生・園児に限定か、一般にも開放しているか
  • ・価格:原価+わずかな上乗せか、一般市場と同レベルか
  • ・継続性:単発イベントか、通年・毎期継続する事業か
  • ・体制:専用の人員・施設・広告宣伝を伴うか

感覚的な「学校サービスの延長」で判断せず、法人税法上の収益事業の基準に照らして検討することが求められます。


■ 会計処理と申告実務のポイント

収益事業を行っている学校法人では、次のような実務対応が重要になります。

区分経理の徹底

  • ・収益事業会計を学校会計と明確に分ける
  • ・科目や部門コードで取引を細かく仕分ける

共通経費の配賦

  • ・教職員の人件費、光熱費、減価償却費などを合理的な基準で按分
  • ・配賦基準は文書化し、毎期継続して適用する

法人税・地方税の申告

  • ・事業年度終了後2か月以内に法人税・地方法人税・事業税・住民税の申告
  • ・地方税では、収益事業所得の90%以上を学校経営に充てる場合、事業税の対象外となる特例もあるため、事前のシミュレーションが有効

赤字でも申告義務がある可能性

  • ・収益事業が赤字でも、原則として申告は必要
  • ・「利益が出ていないから大丈夫」と放置すると、無申告加算税のリスクが高まります

■ まとめ:グレーな事業こそ早めの相談を

学校法人の収益事業は、
「学校の延長のつもり」で始めた小さな取り組みが、後から法人税法上の収益事業と指摘されるケースが少なくありません。

  • ・私立学校法と法人税法で収益事業の範囲が違うこと
  • ・対象者・価格・継続性・体制で判断が変わること
  • ・区分経理と共通経費の配賦が申告の精度を左右すること

この3点を押さえておくと、実務上のトラブルをかなり減らせます。

「この事業は収益事業に当たるのか」「申告が必要か」「区分経理のやり方に不安がある」といった場合は、着手前・拡大前に専門家へ相談されることをおすすめします。
学校法人に特有の会計・税務の考え方を踏まえて整理することで、安心して教育活動に集中できる体制づくりをお手伝いできます。

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