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税務顧問

2026.1.7

【法人税】オペレーティングリースの会計・税務と株価対策の実務ポイント

税負担を平準化しつつ、将来の自社株評価も意識したい。そんなオーナー企業の経営者の方に、オペレーティングリース商品は有力な選択肢になります。
ただし、「節税になるらしい」だけで導入すると、会計処理や税務、株価への影響を読み違えてしまうおそれがあります。本記事では、法人が導入する際の基本的な会計・税務と、自社株対策としての位置づけを分かりやすく整理します。

1. オペレーティングリースのイメージ

オペレーティングリースは、航空機や船舶、コンテナなどの大型資産をファンドや匿名組合の形で共同投資し、そのリース料や売却代金を投資家に分配する仕組みです。

  • ・リース物件の取得・運営は専門家に任せられる
  • ・一定期間は損金が先行し、後半は益金が増える「損益カーブ」の設計ができる
  • ・まとまった資金を一度に投じるのではなく、複数案件に分散しやすい

という特徴があり、決算と税務のコントロールに使いやすい商品といえます。

2. 会計処理の基本

多くのスキームでは、匿名組合出資や合同会社持分など「投資」の形になります。仕訳イメージは次のような流れです。

(1) 出資時

  • ・「投資その他の資産/現預金」
     出資金全額を投資勘定に計上します。

(2) 分配金受領時

  • ・利益分配部分 → 「現預金/営業外収益(匿名組合利益、配当金収入など)」
  • ・元本返還部分 → 「現預金/投資その他の資産」

分配通知書に「利益」「元本」が区分されている場合、その区分に従って処理することがポイントです。

(3) 期末評価・減損
原則として取得原価で評価しますが、リース継続が困難になるなど、回収可能性が大きく落ち込んだときは減損の検討が必要です。ここは監査法人や顧問税理士と方針を合わせておくと安心です。

3. 法人税のポイント

法人税の観点では、次の点を押さえておくと判断しやすくなります。

  • ・分配金の「利益部分」は益金算入
  • ・リース初期に計上される損失(匿名組合損失など)は、原則として損金算入
  • ・将来の配当・利益分配により、後の期間で益金が増加

つまり、トータルでは利益と損失は均衡しやすいものの、「いつ課税されるか」をコントロールできる商品というイメージです。

たとえば、ある年度の利益が1億円見込まれるA社が、オペレーティングリースに5,000万円出資し、初年度に2,000万円の損失が分配されるとします。
この場合、課税所得は概ね8,000万円まで圧縮され、法人税等が数百万円単位で軽減される可能性があります。一方で、リース後半には利益分配が増え、課税所得が押し上げられることを忘れてはいけません(課税の繰り延べ)。

4. 自社株評価(株価対策)としての位置づけ

オーナー企業にとって重要なのが、自社株評価への影響です。

  • ・出資により現預金が減り、「投資その他の資産」が増える
  • ・初期の損失計上で純資産が一時的に減少する
  • ・将来の利益分配で純資産は戻っていく

このため、事業承継のタイミングを意識して案件の期間を選ぶことで、「評価が高くなりすぎる時期」を和らげる効果が期待できます。

ポイントは次の通りです。

  • ・自社株移転(相続・贈与)を予定する年に、オペレーティングリースの初期損失が重なると評価圧縮に寄与しやすい
  • ・現預金をそのまま残すよりも、運用資産+一時的な損失に形を変えることで、純資産と株価の推移をコントロールしやすくなる
  • ・一方で、将来の利益分配期には逆に株価が上昇しやすいため、出口のタイミング設計が重要

「節税商品」としてだけでなく、「自社株評価のコントロールできるツール」として設計することが、オーナー企業にとってのオペレーティングリースの本当の使いどころです。

5. 導入前に必ず確認したいチェックポイント

導入検討の際は、次の点を事前に整理しておくと失敗しにくくなります。

  • ・商品スキーム(匿名組合か、合同会社か など)
  • ・会計処理のルール(勘定科目・元本/利益の区分方法)
  • ・損益カーブ(各年度の損失・利益の推移)
  • ・法人税だけでなく、事業税・住民税への影響
  • ・自社株評価シミュレーション(導入前後の株価を比較)
  • ・事業承継のスケジュールとの整合性

オペレーティングリースは、単発で見ると「税金が減ったように見える」商品です。ただ、決算・税務・事業承継をワンセットで設計することで、初めて最大限の効果を発揮します。

まとめ

オペレーティングリースは、

  • ・会計上は「投資その他の資産」として扱うことが多い
  • ・法人税では「損金先行・益金後行」という時間差を活用できる
  • ・自社株評価をコントロールし、事業承継の設計にも組み込みやすい

という特徴を持つ法人向けの資産運用・税務戦略ツールです。

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