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令和8年3月期の学校法人決算は、私立学校法の改正に伴う学校法人会計基準の改正後、初めて本格的に作成する決算となります。特に、賞与引当金の計上、計算書類の様式変更、提出書類の並び順の変更は、経理担当者が早めに確認しておきたい重要論点です。従来どおりの決算作業を進めると、理事会・評議員会への報告資料や所轄庁提出書類の作り直しが生じる可能性があります。R8/3期決算では、会計処理そのものと、表示・提出形式の両面から準備することが大切です。
改正後の学校法人会計基準では、退職給与引当金だけでなく、将来の支出に備える引当金について、当年度の負担に属する金額を事業活動支出として計上する考え方が明確になりました。これにより、翌年度に支給する賞与のうち、R8/3期に対応する部分は賞与引当金として計上する必要があります。賞与引当金の詳細は過去のブログに記載していますので、そちらをご参照ください。
例えば、令和8年夏季賞与について、算定期間の一部が令和8年3月期に含まれる場合、その対応部分を見積もって賞与引当金繰入額として処理します。実務では、次の資料を早めに整理しておくと決算がスムーズです。
・賞与規程、給与規程
・過去の賞与支給実績
・算定対象期間と支給予定月
・教職員別の在籍状況
・社会保険料の事業主負担分の取扱い
特に幼稚園・認定こども園では、これまで賞与引当金を計上していなかった法人も少なくありません。初年度は金額的重要性だけで判断せず、規程と支給実態を確認することが重要です。
R8/3期決算では、計算書類の様式も改正後の様式に基づいて作成します。作成すべき計算書類は、貸借対照表、事業活動収支計算書、資金収支計算書、活動区分資金収支計算書とされています。従来の会計ソフトの帳票をそのまま使用できるとは限らないため、最新版への更新状況や科目設定を事前に確認しておきましょう。
実務上は、表示科目の追加や並び替えだけでなく、前年度比較欄、注記事項、附属明細書との整合性も確認が必要です。賞与引当金を新たに計上する場合、貸借対照表の負債、事業活動収支計算書の人件費、附属明細書の関係が一致しているかを確認してください。また注記に会計方針の追加、変更についての記載も必要となります。
改正後は、所轄庁等へ提出する計算関係書類の順番にも注意が必要です。文部科学省の説明資料では、計算書類及び附属明細書は、学校法人会計基準の第一号様式から第四号様式、注記事項、第五号様式から第七号様式、収益事業がある場合の貸借対照表・損益計算書の順とされています。内訳表は別冊として、私立学校振興助成法施行規則の様式順に整理する扱いです。
決算書の中身が正しくても、提出順序や添付位置が誤っていると、差替え対応が必要になることがあります。理事会・評議員会に提出する資料も、最終提出版と同じ構成に近づけておくと、説明がしやすくなります。
R8/3期決算では、次の点を早めに確認してください。
・賞与引当金の計算方針
・会計ソフトの新様式対応
・注記事項と附属明細書の整合性
・理事会、評議員会、監事監査の日程
・所轄庁への提出書類の順番
・前年度決算書からの表示変更点
特に、賞与引当金は決算整理仕訳だけで完結するものではありません。予算との関係、翌期の賞与支給時の取崩処理、理事会への説明資料まで含めて準備する必要があります。
私立学校法改正に伴う学校法人会計基準の改正は、R8/3期決算において、賞与引当金の計上、計算書類の様式変更、提出順序の見直しという形で実務に影響します。単なる帳票変更ではなく、決算方針、表示、説明責任が問われる改正です。早い段階で規程・賞与実績・会計ソフト・提出資料を確認し、監事監査や理事会前に論点を整理しておくことが、手戻りを防ぐ最も確実な対応です。学校法人会計に詳しい専門家に相談しながら進めることで、改正初年度の決算も安心して対応できます。