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「現金で持っていると相続税が重くなる。でも、いきなり賃貸マンションを一棟買うのはハードルが高い」。
そんなお悩みをお持ちの方に、近年よく検討されているのが不動産小口化商品です。少額から都心ビル等のオーナーになれ、運営はプロに任せられるため、忙しい経営者やドクターの方でも取り組みやすい手法と言えます。ここでは、相続税対策を考える個人の方に向けて、基本的な仕組みと税務上のポイントを整理します。
政府税調・自民党税調において、相続税・贈与税における「貸付用不動産」の評価の見直しが議論されています。下記に紹介する「不動産小口化商品」についても2025年11月13日の政府税制調査会専門家会合において、国税庁が「財産評価を巡る諸問題」と題する資料のなかで問題提起がされております。当該記事の作成時点においては具体的に決まった事項はありませんが、相続開始前・贈与前5年以内に、対価を伴う取引により取得した貸付用不動産については、路線価ではなく通常の取引価額に相当する金額(購入価額等)で評価する、不動産小口化商品についても通常の取引価額に相当する金額(売買実例価額等)により評価するという案も上がっております。令和8年度税制改正に織り込まれる可能性がありますので、議論の動向に注意が必要です。
不動産小口化商品とは、1つのビルやオフィスを複数の持分に分けて販売し、投資家がその一口を購入する仕組みです。
不動産小口化商品は、信託受益権や匿名組合出資などの形が用いられますが、「間接的に賃貸不動産を所有しているイメージ」と捉えると分かりやすくなります。
分配金の税務上の区分は、商品スキームによって「不動産所得」または「雑所得」と異なります。一般的な賃貸不動産型では不動産所得となるケースが多く、
を差し引いた利益に対して、所得税・住民税が課税されます。
複数案件に投資し、一定規模以上になると青色申告の適用も検討できます。青色申告特別控除や赤字の繰越控除が使えるようになると、他の所得との組み合わせでトータルの税負担をコントロールしやすくなります。
現金1億円をそのまま相続すると、評価額は原則1億円のままです。
一方、その一部を不動産小口化商品に組み替えると、
といった効果が期待できます。
たとえば、70歳の方が、将来の相続を見据えて現金6,000万円のうち3,000万円を不動産小口化商品に投資し、残りは生活資金として確保したケースを考えます。
賃貸不動産としての相続税評価が2,400万円程度に下がり、さらに借入金1,000万円を併用していれば、実質的な課税対象は1,400万円前後まで圧縮できるイメージです(実際の評価は物件や借入条件により大きく変わります)。
不動産小口化商品は「口数」で管理されるため、
といった使い方がしやすい点も特徴です。1棟マンションの持分を共有するより、分けやすくシンプルなケースが多いでしょう。
相続対策として検討する場合は、次を事前に確認しておくことが大切です。
不動産小口化商品だけで相続税が劇的にゼロになるわけではありませんが、「現金だけで持たない」「分けやすい資産を増やす」という観点では、非常に使い勝手の良いツールになり得ます。
不動産小口化商品は、
当事務所では、不動産小口化商品を活用した「相続税シミュレーション」を、他の不動産・保険・金融資産と組み合わせてご提案しています。
「自分の資産構成でどのくらい相続税が変わるのか知りたい」という方は、資産一覧をお持ちいただければ、具体的な数字を交えた個別相談を承っています。どうぞお気軽にお問い合わせください。