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内部統制整備労働組合監査

2022.12.8

労働組合の公認会計士による会計監査は義務?

内部監査

 労働組合にて会計担当による4,000万円の横領が発覚したというニュースが目に飛び込んできました。最近、労働組合に関わらず横領のニュースを最近よく見かけます。横領は長年同じ担当者に会計の業務を任せっきりにしていたり、発注や支払等の業務をすべて同じ人が担当している、第三者による定期的なチェックが行われていない等の理由により起こります。以前のコラムでもご紹介しましたとおり一人の人が何でもできるような権限があると必然的に横領は起きてしまうのです。

 そもそも労働組合は、会計について会計監査人(公認会計士又は監査法人)による監査を受けることが義務付けられているのでしょうか?

労働組合法第5条第2項第7号においては、以下のように定められています。

(労働組合法第5条第2項第7号)

すべての財源及び使途、主要な寄附者の氏名並びに現在の経理状況を示す会計報告は、組合員によって委嘱された職業的に資格がある会計監査人による正確であることの証明書とともに、少なくとも毎年 1 回組合員に公表されること。

 つまり、労働組合は会計監査人(公認会計士又は監査法人)により会計報告について監査を受けることが法律によって義務付けられているのです。

 しかし、現実には労働組合にて会計監査人による監査を受けていない組合は多数あります。今回の横領の事件についても、ニュースを見る限りでは会計監査人による監査を受けていなかったと思われます。

 会計監査人による監査を受けなくとも、罰則は定められていないため監査を受けていない組合が多いと考えられます。しかし、労働組合法第5条1項において会計監査人による監査を受けていない場合は「労働組合法上の手続に参与し、救済を求める資格がない」とされています。具体的には、下記の手続が出来なくなります。

 ①不当行為に対する救済申立(労働組合法第5条1項)

 ②法人格を取得するための資格証明取得(労働組合法第11条)

 ③労働協約の地域的拡張適用の申立(労働組合法第18条)

 ④労働者委員の推薦(労働組合法第19条の3第2項)

 弊事務所にご相談いただいた労働組合では、長年会計監査を受けていなかったが、このうち②の法人格を取得したいという理由で会計監査を受けたいという依頼がありました。また、実際に不正が発覚してから会計監査を受けたいというケースもありました。

 労働組合の会計は企業会計とは異なり特殊な会計体系であるため公認会計士でも対応できるものは多くはありません。弊事務所に所属する公認会計士は20年近くにわたり様々な業種、規模の労働組合の会計監査人の経験がありますので、安心してご相談ください。

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