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少し前の話にはなりますが、8月に顧問をしております社会福祉法人から「税務調査の連絡がきました。」との一報が入りました。
以前こちらのコラムにて学校法人の税務調査について記載しましたが、連絡のあった社会福祉法人も収益事業を行っていないため、法人税、消費税の申告は行っておらず、税務代理権限証書を提出していなかったため直接社会福祉法人に連絡がきたのです。
コロナの影響により税務調査の現地調査の数は従来よりも減少しているものの、税務署の人事異動後の7月以降はどうしても税務調査が活発になる時期ではありました。
顧問先からは、「はじめての経験でどうしたらよいか分からないので税務調査に立ち会ってほしい。」とのことでしたので、所轄の税務署に電話をかけ「税務代理権限証書を提出するから以降の連絡は私を通してから行ってほしい。」と連絡をいたしました。
調査官の話を聞いてみると、「源泉所得税の調査です。」とのことでしたが、よくよく話を聞きすすめていると、法人税法上の収益事業にあたる収入や消費税法の課税売上にあたる収入がないかもあわせて確認したいとのことでした。
源泉所得税だけの調査になりますと、指摘された事項について争う余地があまりないため、調査の立ち合いは顧問先からの依頼が無いかぎり行っておりませんが、法人税・消費税に関係するとなると話は別です。学校法人や社会福祉法人といった非営利法人の収入が課税になるかどうかの判断は非常に難しく、税務調査の立ち合いをしていなければ税務署の言うがままに課税をされる可能性があるためです。
社会福祉法人という事業の性質上、現場での調査はコロナ蔓延防止の観点から受け入れることができなかったため、資料を一式持ち帰られての調査となりました。いろいろ議論があったため、結果的に調査期間は3か月程度かかりました。12月になり、ようやく調査官による税務調査の講評が行われました。調査の詳細は守秘義務がありますので記載はできませんが、結果として法人税・消費税ともに追徴で課税されることはなく、わずかな源泉所得税の指摘だけで終わりました。収入の中には課税か否か判断に悩む取引があったものの、調査の立ち合いにはいっていたせいか特段の指摘が無くほっとしました。結果が無事に終わったことはもちろんですが、当初調査官から顧問先に連絡があった際は強気な口調だったそうですが、私が調査の立ち合いをすると連絡をして以降は、丁寧な対応になったとのことで非常に感謝をしていただきました。
社会福祉法人、学校法人を専門としているため多数の顧問をさせていただいおりますが、入力された会計処理をチェックする際は、法人税・消費税の課税にあたるか否かは慎重にいつも気にするようにしております。
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