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学校法人監査

2026.1.29

【私立学校法改正】賞与引当金の計上明確化で決算が変わる

賞与

令和7年度から学校法人会計基準の改正により、引当金の考え方が整理され、賞与引当金も「要件を満たすなら計上する」方向が明確になりました。そのため、決算で人件費が急に増えたように見えたり、監査で「根拠資料はありますか」と確認が入ったりしやすくなります。ポイントは、給与規程と支給実態に沿って算定ルールを先に決め、事前にどのくらいの影響額になるのかを把握しておくことです。また、決算で大きく費用計上することに抵抗がある場合には、事前に試算した賞与引当金の金額を月次処理しておくことも有効です。

■ なぜ「計上が必要」になり得るのか

改正後は、退職給与引当金に限らず、

  • ① 将来の特定の支出
  • ② 当期以前の事象に起因
  • ③ 発生可能性が高い
  • ④ 合理的に見積可能

という要件を満たすものは引当金計上が適切と整理されています。賞与も、勤務の提供により当期に費用が発生しているなら、この枠組みで検討することになります。

■ 実務での算定手順

  • ・支給対象期間を確定(例:夏季賞与が12/1〜5/31など)
  • ・「支給見込額」を設定(過去実績、昇給、在籍見込みを反映)
  • ・当期帰属割合で按分
     例:期末3/31、対象6か月、当期帰属4か月なら
     賞与引当金=支給見込額×4/6
  • ・会社負担の社会保険料を含めるか方針化(含めるなら同様に見積り)

■ 仕訳と科目設定の注意点

会計処理としては「賞与引当金繰入額」という科目で処理し、教育活動収支の人件費区分に設ける運用が一般的です。期末仕訳は次の形で統一すると、翌期の戻入処理も迷いません。
(借方)賞与引当金繰入額/(貸方)賞与引当金(流動負債)

また、翌年度の支給時においては、

(借方)賞与(期末手当)/(貸方)普通預金・・・資金収支仕訳
(借方)賞与引当金/(貸方)賞与(期末手当)・・・事業活動収支仕訳(非資金仕訳)
という処理を行うことになります。

また参考までにはなりますが、文科省から通知された「学校法人会計基準の一部改正に伴う計算書類の作成等について(通知)」において賞与引当金計上初年度における令和7年度においては、
令和7年度の期首時点において、前事業年度末に計上すべきであった金額を

①(借方)賞与引当金特別繰入額(特別支出)/(貸方)賞与引当金(流動負債)

と処理を行い、

令和7年度の賞与支給時に

②(借方)賞与(期末手当)/(貸方)普通預金・・・資金収支仕訳
③(借方)賞与引当金/(貸方)賞与(期末手当)・・・事業活動収支仕訳(非資金仕訳)
という処理をすることも認められております。
当該処理をすることで、令和7年度の人件費が賞与引当金特別繰入額の分だけ例年より過大に計上される影響を除外することができます。(賞与の一部①が特別支出に計上されるため。)

■ 令和7年度に起きやすい落とし穴

  • ・初年度だけ大きな費用増に見える(前年未計上の反動)・・・賞与引当金特別繰入額を計上することで影響は緩和できる。
  • ・「支給対象期間」が規程と実態でズレている
  • ・見積根拠(人員一覧、支給率、計算表)が残っていない
     決算前に、給与規程・賞与算定表・対象期間を整理しておくと、監査対応が一気に楽になります。

まとめとして、賞与引当金は「計上するかどうか」より「どう見積り、どう説明できるか」が肝心です。

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