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学校法人監査

2026.4.21

【学校法人会計】学校法人会計の棚卸対策!図書や貯蔵品の適切な管理と企業会計との違い

棚卸

学校法人の運営において、年度末の決算業務は非常に大きな負担となります。特に棚卸(たなおろし)業務は、日常の教育活動に追われる中で後回しになりがちですが、計算書類の正確性を担保するためには欠かせないプロセスです。

在庫管理が不十分だと、監査で指摘を受けるだけでなく、法人の財産状況を正しく把握できなくなる恐れがあります。

本記事では、学校法人会計特有の棚卸のルールや、実務で間違いやすいポイントを分かりやすく整理しました。これを読めば、適切な資産管理への第一歩が踏み出せるはずです。

■ 学校法人会計における棚卸資産の範囲

学校法人で棚卸が必要なのは、パソコン等の備品だけではありません。主に以下の項目が対象となります。

・貯蔵品(未使用の消耗品、切手、印紙など)

・商品(売店で販売する文房具や制服など)

・図書(教育研究用の書籍など)

特に貯蔵品については、年度末に一括で購入したものや、多額の未消費分がある場合に、適切に資産として計上し直す必要があります。

■ 棚卸を実施すべき最適な時期

棚卸は原則として、会計年度末である3月31日現在の現有高を確認するために行います。実務を円滑に進めるためのポイントは以下の通りです。

・実地棚卸のタイミング:3月31日当日に全資産を確認するのが理想ですが、業務の都合上難しい場合は、3月末の数日前後で実施し、実施日から決算日までの出入りを帳簿で調整する方法も一般的です。

・図書の点検:図書は数が膨大なため、年度末にすべてを点検するのは困難です。そのため、夏休みなどの長期休暇を利用して計画的に点検を行い、3月末にはその結果を反映させるという年間スケジュールを組むのが現実的です。

■ 企業会計との大きな違いと図書の扱い

企業会計では在庫は利益計算に直結しますが、学校法人会計では教育活動を支える財産の保持という側面が強くなります。最大の特徴は、図書の扱いです。

企業では書籍は消耗品として処理されることが多いですが、学校法人では教育研究に供する図書は、たとえ1冊の金額が小さくても固定資産(機器備品に準ずる扱い)として管理するのが基本です。そのため、紛失がないか、除却漏れがないかを定期的に確認する棚卸作業が極めて重要になります。

■ 実務で役立つ棚卸の注意点

多くの現場を見てきた公認会計士の視点から、特に注意すべき点を挙げます。

・重要性の原則:すべての消耗品を棚卸するのは現実的ではありません。法人の規程により、一定額以下の少額な貯蔵品は棚卸対象から除外するなどの柔軟な運用も検討しましょう。

・立会手続の準備:公認会計士の監査を受ける法人では、監査人が棚卸に立ち会うことがあります。あらかじめ場所を整理し、数量をカウントしやすい状態にしておくことがスムーズな監査につながります。

・図書の除却処理:ボロボロになって廃棄した本が帳簿に残っていませんか。棚卸時に現物がない場合は、速やかに資産から控除する手続きが必要です。

■ まとめ

学校法人の棚卸は、単なる数合わせではありません。教育環境を支える大切な財産を守り、社会的な信頼を得るための重要な業務です。

・図書や貯蔵品など、学校特有の資産を正しく把握する

・監査を見据えて、日頃から整理整頓を心がける

・重要性を考慮した効率的な管理体制を構築する

もし、自校の棚卸ルールが現状に合っているか不安がある場合や、決算の効率化を図りたいとお考えでしたら、ぜひ当事務所へご相談ください。専門的な知見から、貴法人の実務に最適なアドバイスをさせていただきます。

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