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学校法人が法人から寄付金を受ける場合、税務上の優遇措置を考慮して、受配者指定寄付金制度を利用することがあります。受配者指定寄付金は、日本私立学校振興・共済事業団を経由して、寄付者が指定した学校法人へ配付される寄付金です。通常の寄付金と似ていますが、会計処理のタイミングや一時的に学校法人へ入金された場合の処理を誤ると、決算書の表示や寄付者への説明に影響します。特に決算日前後の入金では、収入計上時期を慎重に確認することが大切です。
受配者指定寄付金は、寄付者から学校法人へ直接寄付されるものではなく、最終的には事業団を通じて学校法人へ配付される仕組みです。実務上は、いったん学校法人の口座に入金され、その後、学校法人から事業団へ送金し、事業団から配付決定を受けて学校法人に戻る流れとなることがあります。
このため、最初に学校法人へ入金された段階で、すぐに寄付金収入として処理してよいかが重要な論点になります。入金の実態は、学校法人が最終的に受け取る寄付金ではなく、事業団へ送金するまでの一時的な預り金として整理するのが基本です。
寄付者から学校法人に入金があった場合でも、受配者指定寄付金として事業団へ送金する前提であれば、入金時には特別寄付金収入ではなく、預り金などの負債科目で処理します。
例えば、企業から100万円の入金があった場合、次のような処理が考えられます。
・入金時
普通預金 100万円/預り金 100万円
・事業団への送金時
預り金 100万円/普通預金 100万円
この段階では、学校法人の収入として確定しているわけではありません。収入として処理するのは、事業団から配付決定通知を受け、学校法人が受け取ることが明らかになった時点です。
受配者指定寄付金の収入計上時期は、単なる入金日ではなく、事業団からの配付決定通知を受けた時期を基準に検討します。配付が決定した段階で、学校法人に帰属する寄付金として整理できるためです。
会計処理としては、配付決定通知を受けた年度に、特別寄付金収入として計上することが一般的です。寄付金の使途が施設設備の取得などに指定されている場合には、第1号基本金の組入対象となるか、固定資産取得との対応関係をあわせて確認します。
実務で特に間違いやすいのは、3月末近くに寄付者から学校法人へ入金があり、事業団からの配付決定通知が翌年度になるケースです。この場合、学校法人への入金日だけを見て当年度の寄付金収入にすると、収入計上が早すぎる可能性があります。
確認すべき資料は次のとおりです。
・寄付申込書
・学校法人への入金日
・事業団への送金日
・事業団の寄付金受領書
・配付決定通知書
・寄付金の使途指定の有無
特に、寄付者側では損金算入のために事業団発行の受領書が重要になります。学校法人側も、寄付者に対して受領書の発行時期や会計上の処理時期を正確に説明できるようにしておく必要があります。
受配者指定寄付金は、寄付者にとって税務上のメリットが大きい一方で、学校法人側では通常の寄付金とは異なる会計処理が必要です。寄付者から学校法人へ入金された時点では預り金として処理し、事業団から配付決定通知を受けた年度に特別寄付金収入として計上する流れを押さえておきましょう。決算日前後の入金では、入金日、送金日、配付決定通知日を一覧で管理しておくと安心です。寄付金処理は、収入区分、基本金、証憑管理が密接に関係しますので、早い段階で専門家に確認することで、寄付者対応と決算処理の双方を円滑に進めることができます。