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社会福祉法人の予算は、単なる年間の収支見込みではありません。事業計画を数字に落とし込み、理事会・評議員会で法人運営の方向性を確認するための重要な管理資料です。特に、当初予算の承認が遅れたり、補正予算を事後承認のように処理したりすると、指導監査で説明を求められることがあります。社会福祉法人では、毎会計年度開始前に収支予算を作成し、定款に従って承認を受けることが基本です。
当初予算は、翌年度の事業計画に基づいて作成します。作成するのは、主に資金収支予算書です。資金収支予算とは、現金預金の収入と支出の動きを見込む予算をいいます。
実務上は、次の流れで進めると無理がありません。
・10月〜11月 各施設、各事業所へのヒアリング
・12月 人件費、委託費、修繕費、設備投資の見込み整理
・1月 法人本部で全体調整
・2月 理事長確認、理事会資料の作成
・3月 理事会承認、必要に応じて評議員会承認
定款で評議員会承認まで必要としている法人は、理事会だけで完結しない点に注意が必要です。租税特別措置法40条(公益法人等に財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税の特例)の適用を意識している法人では、評議員会承認事項としているケースもあります。
補正予算は、当初予算と実績見込みに大きな差が生じた場合に作成します。たとえば、次のような場合です。
・職員採用や退職により人件費が大きく変わる
・大規模修繕や備品購入が発生する
・補助金や委託費の見込みが変わる
・新規事業、事業縮小、定員変更がある
補正予算は、決算数値に合わせるための形式的な資料ではありません。年度内の意思決定として、予算を修正する手続です。そのため、3月31日を過ぎてから最終補正予算を承認する運用は、事後承認と見られるおそれがあります。
補正予算は、年1回で足りる法人もありますが、規模が大きい法人では年2回の確認が有効です。
・9月〜10月 上半期実績を踏まえた第1次補正
・1月〜2月 年度末着地を見込んだ最終補正
・3月 理事会、必要に応じて評議員会で承認
特に保育、介護、障害福祉事業では、処遇改善関係、加算、補助金、職員配置により収支が大きく動きます。経理担当者だけで作成せず、施設長や事業責任者から早めに情報を集めることが重要です。
社会福祉法人の予算策定では、当初予算を年度開始前に承認すること、補正予算を年度内に適時承認すること、事業計画と整合させることが重要です。予算は指導監査でも確認される法人運営の基本資料です。早めに年間スケジュールを決め、理事会・評議員会の日程から逆算して準備することで、説明責任を果たしやすくなります。予算作成や補正予算のタイミングに不安がある場合は、社会福祉法人会計に詳しい専門家へ早めに相談することをおすすめします。