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社会福祉法人で施設整備の補助金を受けると、「国庫補助金等特別積立金ってどう仕訳するの?」「減価償却と取崩の関係がよく分からない」というご相談をよく受けます。積立や取崩の処理を誤ると、事業活動計算書の増減や純資産の表示に影響し、行政監査でも指摘を受けかねません。本記事では、国庫補助金等特別積立金の基本的な考え方と、積立・取崩の仕訳をコンパクトに整理します。決算整理や固定資産台帳の見直しにそのまま使える内容を意識しています。
国庫補助金等特別積立金は、
国や自治体、民間公益法人からの補助金等で建物・設備などの整備を行った場合に将来の更新財源を確保するために純資産に計上する積立金という位置付けです。
事業活動計算書では、
積立時:費用「国庫補助金等特別積立金積立額」
取崩時:収益「国庫補助金等特別積立金取崩額」
として表示し、貸借対照表では純資産の部に「国庫補助金等特別積立金」を計上して管理します。
固定資産の取得と補助金の受領、積立はタイミングごとに分けて考えると整理しやすくなります。
(建物取得時)
(補助金受領時)
(補助金を全額積立(金額1,500万円))
ポイントは「補助金を受けた金額を原則として受領時にまとめて積立てる」ことです。毎年少しずつ積み立てるイメージをお持ちの法人もありますが、社会福祉法人会計基準では受領額全体を積立の対象として処理します。
また、10万円未満の消耗器具備品に補助金が充当されている場合は、積立と同時に取崩処理を行い、貸借対照表の国庫補助金等特別積立金の残高は増減しない取扱いになる点も実務上の注意点です。
国庫補助金等特別積立金は、対応する固定資産の減価償却に合わせて毎期少しずつ取崩していきます。
上記の例では、
となります。
(減価償却の仕訳)
(国庫補助金等特別積立金の取崩)
結果として、事業活動計算書では
補助金が複数年度に分けて交付される「償還補助金」の場合も、入金のたびに
国庫補助金等特別積立金をスムーズに運用するには、次の点を意識すると管理が楽になります。
こうした整理ができていると、行政監査や会計監査でも根拠をスムーズに説明でき、法人運営への信頼感につながります。
国庫補助金等特別積立金は、
自法人の決算書を一度確認し、補助金台帳・固定資産台帳・積立金残高がきちんとリンクしているか点検してみてください。もし整理が難しい場合は、社会福祉法人会計に慣れた専門家に相談することで、将来の建替えや設備更新を見据えた安心できるスキームを構築しやすくなります。