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社会福祉法人の経営において、契約業務の適正化はガバナンスの要です。しかし、現場では 競争入札の手間が重い、あるいは どの金額から見積合わせで良いのか判断に迷う という声を多く耳にします。令和8年4月より、随意契約の基準額が大幅に引き上げられる予定であることをご存じでしょうか。本記事では、改正のポイントと、理事長や経理担当者が今から準備すべき実務上の注意点を分かりやすく整理しました。改正内容を正しく理解し、事務負担の軽減と透明性の確保を両立させましょう。
今回の改正では、国の予算決算及び会計令(予決令)の基準修正に合わせる形で、社会福祉法人が見積り合わせで契約できる金額のラインが引き上げられます。主な変更点は以下の通りです。
・工事または製造の請負:250万円以下 ⇒ 400万円以下
・食料品、物品等の買入れ:160万円以下 ⇒ 300万円以下
・上記以外の役務提供(清掃、警備など):100万円以下 ⇒ 200万円以下
これは 随意契約ができる上限金額 そのものを変えるのではなく、2社以上の見積り合わせによって、簡便に契約先を決定できる範囲を広げるものです。
背景には、近年の物価上昇や社会情勢の変化があります。これまでの基準額では、小規模な修繕や日常的な備品購入でも煩雑な競争入札の手続きが必要になり、法人の事務負担が過大となっていました。 今回の改正により、実務の効率化が図られる一方で、公平性や透明性といった非営利法人としての社会的責任は引き続き重視されます。単に楽になるというだけでなく、より迅速かつ適正な経営判断が求められるようになると言えます。
施行は令和8年(2026年)4月1日の予定ですが、直前になって慌てないよう、以下の点を確認しておくことをお勧めします。
実務上の注意点として、金額が新基準以下になったからといって、常に特定の業者1社だけで決めて良いわけではありません。あくまで 2社以上の見積り合わせ が基本であることに変わりはありません。 特に理事長が代表を務める別会社との取引などは 利益相反取引 に該当するため、金額にかかわらず理事会での承認と議事録への正確な記載が必須です。
当事務所では、非営利法人のガバナンス強化を支援しております。規程の改訂や契約実務の適正化に不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。