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「基本金って何となく聞いたことはあるけれど、仕訳や明細書になると自信がない…」という方も多いと思います。基本金は、社会福祉法人が長く安定して事業を続けるための“土台となるお金”であり、所轄庁や金融機関が必ず目を通す項目です。まずは仕組みをシンプルに押さえておきましょう。
社会福祉法人会計基準では、基本金は法人の設立や施設の創設・増築、運転資金のために受け入れた寄附金のうち、将来にわたって法人の基盤として残す部分と定義されています。
要するに「この寄附は施設運営の土台として長く使います」と約束して受け取ったお金で、貸借対照表の純資産の部に積み上がっていくイメージです。
代表的な流れは次のとおりです。
いったん事業活動計算書の特別収益として計上し、その後「基本金組入額」で純資産に振り替えることがポイントです。新会計基準では、10万円未満の初度調度品に対応する寄附金も基本金の対象となるため、備品だからといって除外しないよう注意します。
基本金は、施設の建替えや大規模修繕、運転資金の不足など目的どおりに使う場面で取り崩します。このときは理事会で金額と使途を決議し、必要に応じて所轄庁と協議したうえで、次のように処理します。
基本金/基本金取崩額
基本金取崩額/建物・車両運搬具 など
寄附の趣旨書や議事録、協議資料を残しておくと、指導監査や監査人からの質問にも落ち着いて対応できます。
過去には、建物整備目的の寄附金を通常の受取寄附金として処理したまま基本金組入れを行わず、後から大きな修正と説明が必要になったケースもあります。年度末に寄附金を棚卸しするだけでも、こうしたリスクを減らすことができます。
基本金は、社会福祉法人の安定性を示す重要な指標です。
この3点を意識しておくだけでも、決算書の信頼性は大きく高まります。自法人の基本金の扱いに不安があれば、社会福祉法人会計に詳しい専門家に一度相談してみてください。