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不動産相談業務

2025.12.23

【不動産】不動産小口化商品×法人|不動産小口化投資で株価をコントロールする方法

オーナー企業の株価は、「業績」だけでなく「バランスシートの中身」で大きく変わります。
中でも現預金が厚くなりすぎると、自社株評価が跳ね上がり、将来の相続・贈与時の税負担が重くなりがちです。そこで近年よく活用されているのが、不動産小口化商品への法人投資です。
実はこの投資、「3年間は取得価額で評価され、3年経過後は時価評価に変わる」という仕組みを上手に使うことで、株価対策として大きな武器になり得ます。

☆ 注意事項

12月19日に令和8年度税制改正大綱が公表されました。先日のコラムにて紹介しましたように、個人が所有する「貸付用不動産」の評価の見直し(相続税、贈与税の取り扱い)が明記されました。来年の3月末までに改正内容は確定いたしますので、税制大綱通りの内容になるかは確定しておりません。また現状では2027年1月1日以後に相続が発生した財産が対象以降取得分が対象とはなっておりますが、こちらも最終的にどうなるかは分かりませんので今後の動向に注視する必要があります。

また、法人が所有する「貸付用不動産」、「不動産小口化商品」については、当該コラム作成時点においては、議論に上がっていないようですが、今後の議論により税制改正に織り込まれる可能性がありますので注意が必要です。

1. なぜ現預金が多いと株価が上がるのか

オーナー企業の自社株評価(類似業種比準価額・純資産価額)では、会社が保有する資産が大きいほど、1株あたりの評価額も高くなる傾向があります。
特に、

  • ・現預金
  • ・上場株式などの金融資産

  • は「評価減が効きにくい資産」であり、蓄えが増えるほど株価が上がってしまいます。

一方で、賃貸不動産などの事業用資産は、評価方法や収益性の見方により、現預金ほど評価額が膨らまない場合があり、株価対策として組み替えの余地が生まれます。

2. 不動産小口化商品を法人で保有したときの評価の流れ

法人が不動産小口化商品(信託受益権など)に投資すると、貸借対照表には「投資その他の資産」等として計上されます。
この資産は、株価計算上、次のように評価されるケースが一般的です。

  • ・取得後3年間:取得価額で評価
  • ・3年経過後 :時価(鑑定評価や想定売却価額等)で評価

ここが株価対策のキモになります。

3年間は「取得価額評価」=純資産の動きを読める

投資直後から3年間は、取得価額で評価されるため、

  • ・現預金を減らし
  • ・同額の「不動産小口化投資」に振り替える

  • ことで、バランスシートの総額はほぼ変えずに、「中身」を入れ替えるイメージになります。

この間、

  • ・減価償却のような大きな評価減は発生しない
  • ・一方で、分配金は収益として積み上がる

  • ため、株価への影響を安定的にコントロールしやすくなります。

3年経過後は「時価評価」=株価対策のチャンス

3年を過ぎると、評価方法が時価に切り替わります。
もし物件の評価が取得価額より下がっていれば、

  • ・「投資その他の資産」の評価が下がる
  • ・純資産(=株価の土台)も圧縮される

  • ことになり、結果として自社株評価を抑える方向に働きます。

もちろん、物件や市場環境によっては時価が上昇することもあり得ますが、

  • ・どのタイミングで
  • ・どの案件に
  • ・いくら投資するか

  • を事前にシミュレーションしておくことで、「事業承継を迎える頃に、過度に株価が跳ね上がらない設計」を意識的に作ることができます。

3. 具体的なイメージ例

例えば、オーナー企業A社のケースを考えます。

  • ・現預金:2億円
  • ・純資産:3億円
  • ・5年後に事業承継(自社株の贈与)を検討

ここで、現在の現預金2億円のうち5,000万円を不動産小口化商品に投資するとします。

1〜3年目:

  • ・現預金▲5,000万円、投資その他の資産+5,000万円
  • ・株価計算上は取得価額(5,000万円)で評価
  • ・分配金により利益は積み上がるが、現預金が寝ている状態よりも「収益性の高い資産」に変わったイメージ

4年目以降:

  • ・不動産市況や賃料収入を踏まえた時価評価へ
  • ・仮に時価が4,000万円となれば、投資部分の評価は▲1,000万円
  • ・結果として純資産が相対的に圧縮され、自社株評価にブレーキがかかる

このように、「3年間取得価額→その後時価」という流れを踏まえて、事業承継のタイミングから逆算しながら投資の年・金額・商品を設計することが重要です。

4. オーナー経営者が押さえておきたい実務ポイント

不動産小口化商品を株価対策として検討するなら、次の点を必ず確認しておく必要があります。

  • ・商品スキームと会計処理(勘定科目・減損ルール 等)
  • ・株価評価上、「取得価額評価の期間」がどのようにカウントされるか
  • ・3年経過後の評価方法(どのような時価を採用するか)
  • ・事業承継のスケジュール(相続・贈与・M&Aなど)との整合性
  • ・他の資産(現預金・自社ビル・保険・有価証券)とのバランス

不動産小口化商品は、単に「税金が減る」「利回りが良い」という観点だけでは、本当の力を発揮しません。
「3年後に時価評価になる」というルールを前提に、自社の株価と事業承継計画をセットで設計することが成功のポイントです。

まとめ

法人による不動産小口化投資は、

  • ・現預金を収益性のある事業用資産に組み替え
  • ・3年間は取得価額評価で株価の動きを安定させ
  • ・3年経過後は時価評価により、タイミング次第で自社株評価の圧縮にもつながる

という特徴を持つ、オーナー企業向けの株価コントロールツールです。

「うちの株価は今後どう動きそうか」「いつ投資を始めるのがいいのか」といった疑問があれば、ぜひ一度ご相談ください。

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