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労働組合監査

2024.6.21

【労働組合会計】労働組合の減価償却|非営利でも必要な理由

労働組合監査

「労働組合は営利目的ではないから、減価償却は関係ないのでは?」というご質問をよくいただきます。しかし、事務所の建物や備品を長く使う労働組合こそ、減価償却を正しく行わないと、将来の建替えや修繕のときに資金不足に陥るおそれがあります。ここでは、労働組合における減価償却の基本と、経理担当者の方が押さえておきたい実務ポイントをコンパクトに整理します。

■ 減価償却は「資産の消耗」の見える化
減価償却とは、建物や備品などの固定資産を、購入した年度で一度に費用にするのではなく、使う期間にわたって少しずつ費用化していく会計処理です。現金はすでに支出していますが、帳簿上は年々価値が減っていく姿を数字で表している、と考えると分かりやすくなります。これにより、「今年は黒字でも、実は資産の老朽化が進んでいる」といった状況を把握しやすくなります。

■ 非営利でも資金計画のカギになる
労働組合は、事務所ビルや会議室、コピー機などを長期間使うことが多い組織です。減価償却費をきちんと計上しておけば、毎年どれだけ資産が消耗しているかが見えるため、
・何年後に建替えや買替えが必要になりそうか
・そのときまでにどの程度の資金を用意したいか
といった中長期の資金計画を立てやすくなります。組合員から預かった組合費を計画的に使ううえでも重要な考え方といえます。

■ 実務で迷いやすいポイント
実務では、次のような点でつまずくケースが多く見られます。
・いくら以上を固定資産として計上し、減価償却の対象とするか
・耐用年数(何年で償却するか)の決め方
・過去に購入した資産を、今から整理してもよいのか

【まとめ】
労働組合における減価償却は、単なる会計テクニックではなく、「組合員の財産を長期的に守るための仕組み」です。固定資産の棚卸しとルール整備を早めに行うことで、将来の建替えや大規模修繕にも落ち着いて備えられます。

労働組合の処理に不安がある場合は、労働組合会計に詳しい専門家に相談し、自団体に合った減価償却の方針づくりから始めてみてください。

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