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社会福祉法人の現場では、施設建設の工事請負契約や土地建物の賃貸借契約、銀行からの借入契約、そして日々の利用料の領収書など、印紙税の対象となり得る文書がたくさん発生します。忙しい中で「社会福祉法人だからあまり関係ないだろう」と感覚的に処理してしまうと、税務調査での追徴や無駄な印紙代につながりかねません。
この記事では、社会福祉法人に特有の「領収書は原則非課税」という有利なルールと、逆に契約書では一般法人と同じように印紙税がかかる点を整理し、実務で迷わないチェックポイントをお伝えします。
まず押さえたいのは、「社会福祉法人だからといって印紙税そのものが免除されるわけではない」という点です。印紙税法上の非課税法人は国・地方公共団体・一部の公共法人などに限られ、社会福祉法人は含まれていません。
したがって、次のような文書は、他の法人と同じく印紙税の課税対象になります。
特に建設工事請負契約書については、記載金額100万円超のものに令和9年3月31日まで印紙税の軽減措置があります。
新棟建設や大規模改修を予定している法人では、税額表と軽減表の両方を確認しておくとよいでしょう。
一方で、社会福祉法人には領収書に関して大きなメリットがあります。
これらについて発行する領収書は、「営業に関しない受取書」と扱われ、金額や内容にかかわらず印紙税が非課税とされています。
つまり、100万円の寄附金の領収書でも印紙は不要ということになります。ここを知らずに、一般企業と同じ感覚で5万円以上の領収書に毎回200円の印紙を貼っている法人も実務上見かけますが、完全なムダ遣いといえます。
紙の契約書には印紙税が必要ですが、電子契約(クラウドサイン等)で締結した契約には印紙税がかかりません。
などでも、相手先が電子契約に対応していれば、紙で2通作成してそれぞれに高額な印紙を貼る必要はなくなります。
中長期的に工事や借入が続く法人では、「印紙税の削減」をきっかけに電子契約の導入を検討してみる価値があります。
印紙税のミスとムダを防ぐため、社会福祉法人の経理担当として次の点をルール化しておくと安心です。
社会福祉法人の印紙税では、
という二面性を理解しておくことが重要です。
領収書に無駄な印紙を貼らず、逆に高額工事の契約書で貼り忘れがないよう、仕組みとしてチェックできる体制を整えておくと安心です。印紙税の判断や電子契約への切り替えでお悩みの場合は、社会福祉法人会計に詳しい専門家に一度ご相談いただくことで、税務リスクの低減とコスト削減の両方を図ることができます。