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学校法人の経理では、建設工事や土地建物の売買、賃貸借契約など「契約書」が多く発生します。忙しい現場では「とりあえず契約書を交わしておけば安心」と考えがちですが、印紙税の貼り忘れや過大貼付があると、後から追徴や無駄な税負担が生じてしまいます。
この記事では、学校法人が押さえておきたい印紙税の基本と、契約書・領収書を扱う際の実務ポイントを整理します。新校舎建設や借入契約の場面で「どのくらいの印紙が必要か」を自信を持って判断できるようになることを目指します。
印紙税は「一定の文書を作成したときに課される税金」で、契約書や領収書などに収入印紙を貼ることで納付します。文書の種類ごとに「課税文書」と「非課税文書」が決まっており、税額は国税庁の「印紙税額一覧表」で定額です。こちらを参照ください(国税庁HP)
学校法人だからといって印紙税が免除されるわけではなく、次の2点を満たす文書は原則として課税対象になります。
①契約の成立や金銭の授受を証明するために作成したもの
②紙で作成され、当事者間で取り交わされるもの
一方、PDFのままクラウドサイン等で締結する「電磁的記録(電子契約)」は、現行法では印紙税の課税対象となる「文書」に含まれません。そのため、同じ内容の契約でも「紙で押印」か「電子契約」かで税負担が変わる点は、経理として押さえておきたいポイントです。
学校法人の実務でよく出てくる課税文書は、概ね次のとおりです。
請負契約書(第2号文書)では、記載された契約金額に応じて税額が決まります。
建設工事の請負については、令和9年3月31日までの軽減措置により、本則より低い税額になる場合があります。
学校法人の経理担当者として、次のような運用をしておくと印紙税の漏れをかなり防げます。
契約書のひな型に、次のような欄を作っておくと便利です。
契約担当部署が記入し、経理がチェックする二重の目を入れておくと安心です。
建設工事や賃貸借契約でも、相手先がクラウドサイン等に対応していれば電子契約を選択できます。
電子契約であれば、同じ内容でも印紙税は不要となるため、長期的な契約が多い学校法人にとっては着実なコスト削減につながります。
領収書についても、一定額を超えるものは印紙税の対象になります。
といった観点で、学内ルールとマニュアルを整備しておくと、現場任せになりません。
学校法人における印紙税は、個々の契約ごとに判断しているとどうしても漏れや過大貼付が発生しがちです。
こうした「仕組み」を一度整えておけば、担当者が変わっても安定した対応が続けられます。
自法人の契約書や領収書の運用が不安な場合は、学校法人会計と印紙税に詳しい専門家に一度まとめて点検を依頼されると安心です。当事務所でも、契約実務の流れを含めた印紙税チェック体制づくりをお手伝いしておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。