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労働組合監査

2025.11.14

【労働組合会計:第1回】労働組合の会計監査は「任意」ではありません|まず押さえる法令・規約・体制の話

労働組合のお金は、組合員のみなさんからお預かりする大切な会費が中心です。
だからこそ、「何に使われて、今どんな状況なのか」をきちんと説明できることが、組合運営の安心につながります。

そして最初に知っておきたいのは、労働組合の会計監査は「やった方が良い」というレベルではなく、法律上、毎年行うべきものだということです。

この5回シリーズでは、労働組合の会計・監査を整えるためのチェックポイントを、順番にやさしく解説していきます。

1. すべての労働組合に「年1回の外部監査+会計報告の公表」が必要です

労働組合法では、労働組合が備えるべき要件の一つとして、
「会計報告を、公認会計士または監査法人など“職業的に資格のある会計監査人”の証明書とともに、少なくとも毎年1回、組合員に公表すること」が定められています。

つまり、規模の大小に関係なく、すべての労働組合に外部監査の仕組みが求められている、ということです。


2. 監査をしていないと、いざという時に困ることがあります

外部監査を受けていないことに、直ちに強い罰則があるわけではありません。
ただ、法律上の要件を満たしていないと、不当労働行為救済の申立てなど労組法上の手続に参加し、救済を求める“資格がない”とされるリスクがあります。

「普段は問題ないけれど、もしもの時に困らないように」
そんな意味合いでも、外部監査は組合にとって大切な“備え”になります。


3. まずは組合の全体像をざっくり把握しましょう

外部監査の導入や会計整備は、いきなり難しいことから始めなくて大丈夫です。
最初は次の基本情報が分かれば十分です。

  • ・会計年度(例:4/1〜3/31)
  • ・組合員数(概数)と年間収入規模
  • ・経理担当体制(専任/兼任、人数、交代頻度)
  • ・本部・支部の有無、支部数
  • ・特別会計の有無(争議、共済、イベント等)
  • ・会計ソフト/帳簿の形(Excel、クラウド、会計ソフトなど)

全体像が見えると、「どの順番で整えれば良いか」が自然に決まってきます。


4. 規約・会計規程に“監査と公表”のルールがあるか確認

法律に沿った運営をするには、規約や会計規程にルールが書かれていることがとても大事です。

チェックの視点は次の通りです。

  • ・規約に「会計報告・外部監査・公表」の定めがある
  • ・会計年度、予算・決算承認の手続が明確
  • ・監査委員(内部監査)を置く場合の権限・手続が明文化
  • ・予算外支出や流用の承認手続がある

「運用で何とか回っている」状態は、担当者が変わった瞬間に崩れやすいので、まず“ルールの棚卸し”から始めるのが安心です。


【まとめ】

第1回は、外部監査が法律上の要件であること、そして導入前に押さえておきたい法令・規約・体制のポイントを整理しました。
次回は、労働組合の決算書類(計算書類)と会計基準の考え方をやさしく解説します。


◆ 初回無料のご相談

「うちの組合は要件を満たせているのかな…」
「規約や会計規程、どこを見直せばいいんだろう」
そんなふうに少しでも気になったら、まずは現状確認からで大丈夫です。

当事務所では、労働組合法に沿った体制になっているかを短時間で確認する「初回無料の簡易チェック(相談)」を行っています。
“外部監査が必要かどうかだけ知りたい”という段階でも歓迎です。どうぞお気軽にご連絡ください。

次回予告:第2回「労働組合会計の基準と計算書類|どんな決算書が必要?」

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