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社会福祉法人監査

2026.9.24

【社会福祉法人会計】社会福祉法人の本部会計と費用配賦の実務ポイント

社会福祉法人で複数の施設を運営していると、本部会計の人件費、会議費、通信費、顧問料などを各拠点区分にどこまで負担させるべきか悩む場面があります。本部に費用を残しすぎると施設ごとの収支が実態より良く見えます。一方で、安易に各施設へ配賦すると、補助金や委託費の使途、所轄庁への説明に問題が生じることもあります。大切なのは、「何でも配賦する」のではなく、施設運営との関連性を確認し、合理的な基準を継続して使うことです。

■本部会計に残すべき費用とは

本部会計は、法人全体の管理運営に関する会計区分です。たとえば、理事会・評議員会の運営、法人全体の経営管理、登記、法人全体の監査対応などは、特定の施設だけの費用とはいえません。

本部に残すことが考えられる費用は、次のようなものです。

・理事会、評議員会、監事監査に関する費用
・法人全体の経営管理に関する役員報酬
・本部事務所の賃借料や通信費
・法人全体に関する顧問料、監査報酬
・法人全体の採用、広報、規程整備に関する費用

これらを無理に各施設へ配賦すると、各拠点の経営成績が実態とずれるおそれがあります。

■各拠点に配賦できる費用の考え方

各施設に配賦できるのは、施設運営に関係する共通費です。たとえば、本部職員が各施設の給与計算、請求業務、補助金申請、行政監査対応を行っている場合、その業務量に応じて各拠点へ配賦する考え方は実務上合理的です。

配賦基準の例は次のとおりです。

・給与計算業務:職員数割合
・請求、利用料管理:利用者数割合
・会計入力、決算業務:仕訳件数や収入規模
・施設管理業務:建物面積割合
・共通システム費:利用アカウント数

重要なのは、毎期都合よく基準を変えないことです。赤字の施設に費用を少なく配賦し、黒字の施設に多く負担させるような処理は、説明力を欠きます。

■実務で多い失敗例

よくある失敗は、本部職員の給与を「収入割合」だけで各施設に配賦しているケースです。収入規模が大きい施設ほど多く負担するため一見合理的に見えますが、実際には小規模施設の事務負担が重いこともあります。

たとえば、園児数は少なくても補助金申請や行政対応が多い保育所では、収入割合だけでは本部業務の実態を反映できません。このような場合は、職員数、利用者数、業務時間の概算などを組み合わせた基準を検討する必要があります。

■配賦ルールは文書化が必要

本部経費の配賦は、会計ソフト上の処理だけで完結させてはいけません。次の事項を文書で残しておくと、監事監査、会計監査、所轄庁への説明がしやすくなります。

・配賦対象とする費用
・配賦しない費用
・配賦基準を選んだ理由
・配賦割合の計算資料
・見直しを行う時期

特に、拠点区分間で資金を移動する場合は、会計処理だけでなく、資金使途や内部承認の整備も重要です。

■まとめ

社会福祉法人の本部経費は、単純に各施設へ均等配分すればよいものではありません。本部に残すべき法人全体の費用と、各拠点が負担すべき施設運営関連費用を区分し、合理的な配賦基準を継続して適用することが大切です。

本部会計と拠点区分の整理が不十分なまま決算を迎えると、施設別の収支分析や所轄庁への説明で苦労します。配賦基準の見直し、規程整備、決算前の確認を行うことで、説明できる会計に近づきます。社会福祉法人会計に精通した専門家に早めに相談することで、決算対応だけでなく、法人全体の経営管理にも役立つ体制を整えることができます。

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