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社会福祉法人監査

2026.2.13

【社会福祉法人会計】社会福祉法人決算:令和8年3月期の留意事項7選

決算作業では「数字を合わせる」だけでなく、理事会承認・監事監査・情報公開まで見据えた段取りが重要です。特に社会福祉法人会計は、事業区分等の区分経理や注記の要求水準が高く、毎年同じつもりでもうっかり間違いが起きがちです。令和8年3月期の決算で押さえるべきポイントを整理し、手戻りを減らす進め方まで具体的にまとめます。制度の建付けを理解したうえで、早めにチェックすれば十分間に合います。

1. まずは「決算〜開示」までの工程を逆算する

決算後は計算書類等の電子開示(WAMNET)も待っています。理事会日程に合わせ、試算表締め→監事確認→注記確定→計算書類確定の順に逆算してください。電子開示の取扱い・連絡事項はWAMNET側の情報も必ず確認します。

2. 区分経理(事業・拠点・サービス)と内部取引の整合

決算で最もミスが出やすいのが、区分間の資金移動・共通費配賦・内部取引の相殺漏れです。

  • ・ 共通費(本部人件費、車両費、光熱費等)の配賦基準を毎期同じ根拠で説明できる形にする
  • ・ 区分間貸付・立替の残高を「相手区分」と突合してゼロクリアする
  • ・ 収益と費用が別区分に計上されていないか(委託費・補助金の計上区分)を点検する

3. 補助金・委託費の期末処理(未収・前受・返還)を厳密に

自治体委託費や補助金は、交付決定・実績報告・精算の流れで期末残高が出ます。未収計上や前受計上の根拠資料(交付要綱、精算書、通知文)を揃え、返還見込みがある場合は未払計上まで落とし込みます。実務上よくあるのは「期末後に返還通知が来たが、決算時点で見込めていた」ケースです。通知や精算過程が期末までに把握できていたなら、後発事象として注記や引当の検討が必要になります。

4. 固定資産:修繕費か資本的支出か

大規模修繕・備品更新・ICT機器入替が重なると、費用処理と資産計上の判断が曖昧になります。ポイントは「機能の維持」か「価値・耐用年数の増加」かです。稟議書に、目的(老朽化対応/性能向上)と範囲(対象設備、更新前後)を一言で残すと、監査・監事確認が格段に楽になります。

5. 人件費関連:未払計上と引当金の締め漏れを防ぐ

社会保険料、処遇改善、賞与、退職給付などは、決算の最後にまとめて処理すると漏れます。

  • ・ 賞与:支給対象期間の帰属で見積り、支給が翌期でも未払・引当の検討
  • ・ 社会保険:翌月納付分でも当期対応分を未払計上
  • ・ 退職給付:計算根拠(対象者、要支給額の見積り)を毎期更新

※社会福祉法人会計基準の運用上の留意事項も参照し、法人の実態に合う処理になっているか確認します。

6. 「計算書類に対する注記」で差がつく

注記はテンプレの流用が多い箇所ですが、内容が実態とズレるとリスクになります。特に次は毎期必ず見直してください。

  • ・ 重要な会計方針(有価証券、固定資産、引当金等)
  • ・ 関連当事者取引、偶発債務、後発事象
  • ・ 拠点・サービスの実態に合わせた記載(該当なしの判断根拠も含む)

注記の体裁や項目は法人の開示例でも確認できます。

7. 監事・会計監査人対応は「確認書」と突合して先回り

監査がある法人は、理事者確認書(マネジメント・レター)で問われる論点を先に潰すと、手戻りが減ります。たとえば「重要な契約」「偶発債務」「後発事象」「関連当事者」など、会計数値以外の領域が抜けやすい点に注意が必要です。

☆ まとめ

令和8年3月期の決算は、①開示まで逆算した工程管理、②区分経理と内部取引の整合、③補助金等の期末残高、④固定資産の判断根拠、⑤人件費関連の締め処理、⑥注記の実態反映、⑦監査対応の先回りが要点です。決算の品質は、仕訳の正しさだけでなく「説明できる資料の揃え方」で決まります。自法人の状況に合わせたチェックリスト整備や、注記・開示まで含めたレビューが必要であれば、専門家の目を入れて早期に手当てすることをおすすめします。

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