コラム
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Column
決算作業では「数字を合わせる」だけでなく、理事会承認・監事監査・情報公開まで見据えた段取りが重要です。特に社会福祉法人会計は、事業区分等の区分経理や注記の要求水準が高く、毎年同じつもりでもうっかり間違いが起きがちです。令和8年3月期の決算で押さえるべきポイントを整理し、手戻りを減らす進め方まで具体的にまとめます。制度の建付けを理解したうえで、早めにチェックすれば十分間に合います。
決算後は計算書類等の電子開示(WAMNET)も待っています。理事会日程に合わせ、試算表締め→監事確認→注記確定→計算書類確定の順に逆算してください。電子開示の取扱い・連絡事項はWAMNET側の情報も必ず確認します。
決算で最もミスが出やすいのが、区分間の資金移動・共通費配賦・内部取引の相殺漏れです。
自治体委託費や補助金は、交付決定・実績報告・精算の流れで期末残高が出ます。未収計上や前受計上の根拠資料(交付要綱、精算書、通知文)を揃え、返還見込みがある場合は未払計上まで落とし込みます。実務上よくあるのは「期末後に返還通知が来たが、決算時点で見込めていた」ケースです。通知や精算過程が期末までに把握できていたなら、後発事象として注記や引当の検討が必要になります。
大規模修繕・備品更新・ICT機器入替が重なると、費用処理と資産計上の判断が曖昧になります。ポイントは「機能の維持」か「価値・耐用年数の増加」かです。稟議書に、目的(老朽化対応/性能向上)と範囲(対象設備、更新前後)を一言で残すと、監査・監事確認が格段に楽になります。
社会保険料、処遇改善、賞与、退職給付などは、決算の最後にまとめて処理すると漏れます。
※社会福祉法人会計基準の運用上の留意事項も参照し、法人の実態に合う処理になっているか確認します。
注記はテンプレの流用が多い箇所ですが、内容が実態とズレるとリスクになります。特に次は毎期必ず見直してください。
注記の体裁や項目は法人の開示例でも確認できます。
監査がある法人は、理事者確認書(マネジメント・レター)で問われる論点を先に潰すと、手戻りが減ります。たとえば「重要な契約」「偶発債務」「後発事象」「関連当事者」など、会計数値以外の領域が抜けやすい点に注意が必要です。
令和8年3月期の決算は、①開示まで逆算した工程管理、②区分経理と内部取引の整合、③補助金等の期末残高、④固定資産の判断根拠、⑤人件費関連の締め処理、⑥注記の実態反映、⑦監査対応の先回りが要点です。決算の品質は、仕訳の正しさだけでなく「説明できる資料の揃え方」で決まります。自法人の状況に合わせたチェックリスト整備や、注記・開示まで含めたレビューが必要であれば、専門家の目を入れて早期に手当てすることをおすすめします。