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労働組合の決算書を見ていると、「固定資産見返」という勘定科目が出てきて戸惑う方が多いです。減価償却はなんとなく分かるけれど、固定資産見返との違いが分からないまま仕訳をしているケースも少なくありません。実は、この固定資産見返は「どの資金で固定資産を購入したのか」を明確にするための大切な科目です。本記事では、労働組合会計における固定資産見返の役割と、日々の経理で迷いやすいポイントを整理します。
労働組合会計では、一般会計・特別会計など「資金別」に管理することが多くあります。
このとき、固定資産を購入すると
を対応させて記録する必要があります。
この「元手」を表すのが固定資産見返です。
固定資産見返を計上することで、
例として、一般会計の資金で100万円のコピー機を購入した場合を考えます。
①取得時(現金で購入)
こうすることで、「一般会計の資金を使って備品を取得した」という事実が、固定資産見返に残ります。
②減価償却時
通常は、固定資産見返は動かしません。資産側の簿価が減っていき、固定資産見返とのバランスを見ながら、将来の更新時期を検討します。
③売却・除却時
売却や廃棄をしたときは、資産の帳簿価額を取り崩すのと同時に、固定資産見返も減額して、元の資金(一般会計など)に戻してあげる処理を行います。ここを忘れると、資金別の残高が実態と合わなくなってしまいます。
現場でよく見る注意点は次のとおりです。
特に、担当者が交代を繰り返した組合では、固定資産台帳と固定資産見返残高の突合(照合)が行われていないケースが目立ちます。
一歩踏み込んだ対応としては、
固定資産見返は、労働組合の固定資産と資金の関係を「ひも付け」して見える化するための勘定科目です。
固定資産台帳と固定資産見返の残高が合っているか一度チェックしてみてください。もし整理が難しい場合は、労働組合会計に詳しい専門家と一緒に現状把握から始めることで、今後の決算や監査にも安心して臨める体制を整えられます。