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社会福祉法人監査

2026.8.19

【社会福祉法人会計】保育所の積立資産運用|254号通知の3段階と要件

社会福祉法人が私立保育所を運営する場合、委託費を原資とした積立資産をどこまで設定・取崩しできるかは、行政監査で確認されやすい重要論点です。254号通知では、委託費の弾力運用は適切な施設運営が確保されていることを前提に認められるものとされ、積立資産についても段階ごとに要件と使途が整理されています。

■ 第1段階:当該保育所のための基本的な積立

第1段階は、当該保育所の将来経費に備えるための積立です。254号通知では、一定要件を満たす場合、次年度以降の当該保育所の経費に充てるため、次の積立資産を設定できます。

・人件費積立資産
・修繕積立資産
・備品等購入積立資産

適用要件は、児童福祉施設の基準遵守、職員配置基準の遵守、給与規程の整備と適正な給与水準、給食・日常経費の確保、児童処遇の適切性、役職員の研修参加、設置者運営に問題がないことです。目的外に使用する場合は、原則として所轄庁への事前協議が必要です。

■ 第2段階:保育所等の施設整備に関する積立

第2段階は、同一設置者が設置する保育所等の建物・設備整備等に使うための積立です。第1段階の要件に加え、延長保育、一時預かり、乳児受入れ、地域子育て支援拠点事業、障害児受入れ、休日保育、病児保育など、別表1に掲げる事業等のいずれかを実施していることが必要です。

この場合、処遇改善等加算の区分1である改善基礎分相当額の範囲内で、保育所等の施設・設備整備のための積立支出が可能です。会計上は、保育所施設・設備整備積立資産と保育所施設・設備整備積立金を明確に区分します。他の保育所等の施設・設備に充てる場合は、事前協議が必要です。

■ 第3段階:質の向上要件を満たす場合の積立

第3段階は、さらに保育サービスの質の向上に関する要件を満たす場合の運用です。具体的には、計算書類等の備付け・閲覧、第三者評価加算の認定または苦情解決体制の整備・公表、キャリアパス要件と賃金改善要件の充足が必要です。

この段階では、人件費積立資産と保育所施設・設備整備積立資産への積立が可能となります。保育所施設・設備整備積立資産には、建物・設備、備品、環境改善、業務省力化機器、増改築に伴う土地取得に要する費用が含まれます。目的外使用を行う場合、社会福祉法人では理事会において使用目的、取崩金額、時期を十分に審査し、経営上やむを得ないものとして承認する必要があります。

■ 実務上の注意点

積立資産は、単に預金残高を残せばよいものではありません。積立目的、金額の根拠、使用予定時期、理事会承認、積立金・積立資産明細書の整合性を確認する必要があります。

特に、次の点は監査で指摘されやすい項目です。

・積立目的が抽象的である
・取崩し時の承認記録がない
・改善基礎分の範囲を超えている
・目的外使用なのに事前協議をしていない
・積立金と積立資産の残高が一致していない

■ まとめ

254号通知に基づく積立資産の運用は、第1段階の当該保育所向け積立、第2段階の保育所等施設整備向け積立、第3段階の質の向上要件を満たした積立に整理できます。

重要なのは、どの段階の要件を満たしているかを事前に確認し、会計処理だけでなく、理事会議事録、計算根拠、事前協議書類まで整備しておくことです。積立資産は、保育の質と法人経営の安定を両立させるための制度です。通知の要件を正しく押さえることで、行政監査にも対応できる適切な資金管理につながります。

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