コラム
お役立ち情報
Column
社会福祉法人で新規施設の建設や建物の購入、設備更新を行うと、「固定資産税は本当に非課税なのか」「不動産取得税は減免になるのか」「償却資産税の申告はいるのか」といった不安がつきものです。税金の扱いを誤ると、後からまとめて課税されたり、本来受けられるはずの減免を逃したりしてしまいます。
本記事では、現場の経理ご担当者や理事長が最低限押さえておきたい、固定資産税・不動産取得税・償却資産税の基本と実務のチェックポイントを、社会福祉法人に絞って整理します。
固定資産税は、土地・家屋・償却資産(機械・設備など)にかかる市町村税です。
社会福祉法人だからといって「法人名義の資産は全部非課税」になるわけではなく、地方税法で定められた社会福祉事業などの用に供する資産だけが非課税となります。
代表的な非課税の例
一方で、次のようなケースは課税となりやすい点に注意が必要です。
ポイントは「誰の名義か」ではなく「何の用途か」という点です。用途区分ごとに固定資産台帳を整理しておくと、税務調査や自治体からの照会にもスムーズに対応できます。
不動産取得税は、土地や建物を取得したときに一度だけ都道府県に納める税金です。課税標準は原則として固定資産税評価額、税率は土地・住宅で3%、その他家屋で4%が一般的です。
社会福祉法人の場合、次のような社会福祉事業の用に供する不動産については、不動産取得税が非課税または減免される制度があります。
ただし多くの都道府県で、
とされています。申請をしなければ自動的には非課税にならず、通常の税額がそのまま課税されてしまいます。
実務上は、土地建物の取得を決めた段階で、必ず都道府県税事務所に事前相談を入れることが大切です。
償却資産税とは、建物以外の事業用資産(空調設備、厨房機器、エレベーター、太陽光設備、送迎車以外の車両運搬具など)にかかる固定資産税です。
社会福祉法人が所有する償却資産についても、
とされる自治体が多くなっています。
注意したい課税となりやすい償却資産の例
毎年1月1日時点の状況を基準に、その年の1月31日前後までに申告期限が設定されていることが一般的です。期限を過ぎると、後から資産が把握された際に複数年分まとめて賦課されることもあります。
社会福祉法人の固定資産税・不動産取得税・償却資産税は、「法人だから非課税」ではなく、「どの事業のために、どのように使っているか」で税額が大きく変わる仕組みになっています。
新規施設の建設や建物購入のタイミングだけでなく、用途変更や改修工事の際にも、資産の用途区分と減免申請の有無を一度立ち止まって確認することが重要です。
自法人の資産が適切に非課税・課税区分されているか不安な場合は、固定資産台帳と納税通知書を一式そろえたうえで、社会福祉法人に詳しい専門家にご相談いただくと安心です。