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学校法人監査

2025.7.24

【不動産】学校法人の固定資産税・不動産取得税・償却資産税の実務ポイント

学校法人で校舎や土地を購入・建設するとき、「固定資産税は本当に非課税なのか?」「不動産取得税や償却資産税はかかるのか?」と不安になる経理担当の方は多いと思います。税金の仕組みと非課税・減免の条件を押さえておけば、予算のブレを防げるだけでなく、受けられるはずの軽減を取りこぼさずに済みます。この記事では、学校法人に関係する3つの地方税のポイントを整理し、現場で確認しておきたい実務上の注意点をお伝えします。

1. 学校法人と固定資産税の基本

固定資産税は、毎年1月1日時点で土地・家屋・償却資産を所有している人に、市町村が課税する税金です。

学校法人については、教育や保育の用に直接供する固定資産(校舎、体育館、寄宿舎など)について非課税とする規定があり、多くの自治体が地方税法の非課税規定に沿った運用をしています。

一方で、次のような資産は課税対象になりやすい点に注意が必要です。

  • ・遊休地や将来校地予定地として長期間使用していない土地
  • ・一般の方向け有料駐車場として外部貸ししている敷地の一部
  • ・テナントに賃貸している建物部分(食堂スペースを外部業者へ一括賃貸など)

教育用・貸付用が同じ土地や建物に混在する場合、自治体から用途区分の確認や面積按分の資料提出を求められることもあります。用途変更があったときには、資産台帳と固定資産税の区分を早めに見直しておくと安心です。

2. 不動産取得税:取得時一度だけの税金

不動産取得税は、土地や建物を取得したときに都道府県が一度だけ課税する税金で、原則として取得価格に一定の税率を掛けて計算します。

学校法人が保育・教育の用に直接供するために取得した不動産については、地方税法上「非課税」とされており、多くの都道府県で同趣旨の取扱いが定められています。

実務上の落とし穴は、「非課税・減免を受けるには申告書や証明書の提出が必要」なケースが一般的だという点です。

新設校舎取得の典型的な流れとしては、次のようなステップを意識するとよいでしょう。

  • ・契約段階で「校舎」「寮」「駐車場」など用途を明確にしておく
  • ・竣工・登記後に届く案内や納税通知書の内容を必ず確認する
  • ・都道府県税事務所へ、学校法人であることと教育用として使用することを示す書類(定款、認可書、配置図など)を添付して非課税・減免の申請を行う

実際に、減免申請を失念したために数百万円規模の不動産取得税がそのまま負担になった学校法人もあります。取得スケジュールに「不動産取得税の申告・申請期限」を必ず組み込んでおくことが重要です。

3. 償却資産税と設備投資のチェックポイント

償却資産税は、土地・建物以外の減価償却資産(構築物、器具備品、機械装置など)に対して市町村が課税する、固定資産税の一種です。

学校法人でも、次のような設備は申告対象になり得ます。

  • ・空調・照明設備、太陽光発電設備、受変電設備などの構築物
  • ・校内LANやサーバー、コピー機、厨房機器
  • ・駐車場の舗装、門扉、フェンス など

一方で、学校法人等が直接保育・教育の用に供する固定資産については、固定資産税(償却資産を含む)を非課税とする制度を設けている自治体もあります。その際には、「固定資産税(償却資産)非課税適用届出書」など専用の届出書の提出が求められることが多く、届出をしていないと課税されてしまうおそれがあります。

また、例えば福岡市では、同一区内で同一の人が所有する償却資産の課税標準額の合計が150万円未満であれば、償却資産税は課税されないという免税点が設けられています。

設備投資を行った年度には、

  • ・新たに取得した償却資産の一覧を作成
  • ・教育用として非課税の届出ができるかを検討
  • ・市町村ごとの免税点を確認

といった手順で整理しておくと、申告漏れや過大納税を防ぐことにつながります。

4. まとめ:地方税を味方につけて安定運営を

固定資産税・不動産取得税・償却資産税はいずれもルールが複雑で、しかも自治体ごとに非課税や免税点の運用が異なります。しかし、学校法人に用意されている非課税・減免制度を正しく活用すれば、税負担を抑えつつ、限られた教育資金を子どもたちのための教育活動に振り向けることができます。

新しい校舎や寮、設備の計画が持ち上がった段階で、一度「固定資産税・不動産取得税・償却資産税」の影響と必要な届出を一覧にしておくと安心です。

当事務所では、学校法人会計に精通した公認会計士・税理士が、トータルでサポートいたします。固定資産や設備投資をご検討の際には、ぜひお気軽にご相談ください。

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