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労働組合の組合費は、給与から天引きされるチェックオフ方式で徴収されることが多くあります。一方で、会社から入金された金額をそのまま組合費収入にしているだけでは、脱退者、休職者、控除漏れ、返金処理に気づけないことがあります。チェックオフは便利な仕組みですが、会計処理と法的手続の両方を整えておくことが重要です。この記事では、労働組合の経理担当者が確認すべき仕訳、照合方法、協定上の注意点を実務目線で整理します。
チェックオフとは、会社が組合員の給与から組合費を控除し、まとめて労働組合へ納入する仕組みです。労働組合にとっては、毎月の集金事務を効率化でき、組合費の未収を防ぎやすいメリットがあります。
ただし、会計上は単なる入金ではありません。会社が控除した金額、実際の入金額、組合員名簿を照合し、組合費収入として正しく計上する必要があります。
発生主義で処理する場合、給与控除額が確定した時点で次のように処理します。
・控除額確定時
未収組合費 / 組合費収入
・入金時
普通預金 / 未収組合費
例えば、月額組合費2,000円、対象者100名であれば、組合費収入は200,000円です。後日、会社から200,000円が入金された時点で未収組合費を消し込みます。
小規模な労働組合では、入金時に普通預金/組合費収入として処理する方法もあります。ただし、その場合でも毎月の控除対象者数と入金額の照合資料は必ず保存しておくべきです。
チェックオフで多いミスは、入金額だけを見て会計処理を終えてしまうことです。次の点を月次で確認してください。
・組合員名簿と控除対象者が一致しているか
・休職者、育休者、退職者、脱退者が除外されているか
・新規加入者の控除開始月に誤りがないか
・会社からの入金日と控除月が対応しているか
・振込手数料が差し引かれていないか
実務上の注意点として、会社が振込手数料を差し引いて入金するケースがあります。この場合、入金額だけを収入にすると組合費収入が過少になります。控除総額を組合費収入とし、差し引かれた手数料は支払手数料として区分する処理が望ましいです。
給与から組合費を天引きするためには、会社と労働者側との間で賃金控除に関する労使協定が必要です。賃金は全額払いが原則であり、組合費の天引きはその例外に当たるためです。
さらに、実務上は個々の組合員からチェックオフに関する同意を得ておくことが重要です。組合加入申込書に、組合費の給与控除に同意する文言を入れておくと、後日のトラブルを防ぎやすくなります。
また、組合員からチェックオフ中止の申出があった場合の対応、会社がチェックオフを廃止する場合の協議、複数組合がある場合の公平な取扱いにも注意が必要です。特定の組合だけを不利に扱うと、不当労働行為と評価されるおそれがあります。
チェックオフ協定書には、少なくとも次の内容を明記しておくと実務が安定します。
・控除対象となる組合費の種類
・控除する給与支給日
・会社から組合への納入期限
・控除対象者の追加、脱退、休職時の連絡方法
・控除明細の提供方法
・個人情報の取扱い
・協定の有効期間と更新手続
会計規程にも、組合費収入の計上時期、照合担当者、承認者、証憑保存期間を定めておくと、監査時の説明がしやすくなります。
チェックオフは、労働組合の安定した財政運営に欠かせない仕組みです。しかし、会社からの入金額だけで処理すると、組合費収入の過不足や脱退者への返金漏れを見逃す可能性があります。
毎月の組合員名簿、控除明細、入金額を照合し、未収組合費や手数料も含めて正しく処理することが大切です。あわせて、労使協定と個別同意の整備も欠かせません。労働組合会計に不安がある場合は、労働組合の会計処理と監査に詳しい公認会計士へ早めに相談することで、会計面と法務面の両方から安心できる体制を整えられます。