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社会福祉法人で補助金を受けた場合、名称に施設設備や備品購入と書かれていると、すぐに施設整備等補助金収益として処理し、国庫補助金等特別積立を計上するものと考えがちです。しかし、実際に購入したものが10万円未満の備品であり、固定資産に計上しない場合には、処理を誤る可能性があります。補助金の名目だけで判断せず、実際に何を取得し、会計上どのように処理する資産なのかを確認することが重要です。
社会福祉法人会計では、国や自治体から施設整備の補助金を受けた際、通常は施設整備等補助金収益として処理し、同額を国庫補助金等特別積立金に積み立てます。しかし、会計基準上の重要なルールとして、その補助金で取得したものが固定資産(一般的に10万円以上のもの)に該当するかどうかが、積立の判断基準となります。
補助金の名目が施設設備整備であっても、実際に購入したものが以下のような場合は注意が必要です。
・1個あたりの単価が10万円未満の備品
・消耗品として処理される物品
・これらを複数購入したが、個別に資産計上されないもの
このような場合、会計上の区分は施設整備等補助金収益(特別収益)ではなく、補助金事業収益(サービス活動外収益)として処理することになります。
国庫補助金等特別積立金は、取得した固定資産の減価償却費(資産の価値が減る分を費用化すること)と、補助金という財源を長期間にわたって対応させるための仕組みです。そのため、そもそも資産として計上されない10万円未満の物品を購入した場合、対応すべき減価償却費が発生しません。
対応する資産がない以上、積立金を立てる必要もなく、受領した年度の収益(補助金事業収益)としてそのまま計上して処理が完了します。名目に惑わされず、資産台帳に載るかどうかを確認することが実務上のポイントです。
ここで1つ、現場で非常に多い注意点があります。それは、所轄庁への実績報告や監査時の説明です。
帳簿上は補助金事業収益として処理していても、補助金の交付決定通知書や要綱には施設整備という名称が使われているため、指導監査で「なぜ施設整備等補助金収益に計上していないのか」と問われることがあります。
例えば、感染症対策のために、1台8万円の空気清浄機を5台購入したケースを考えます。合計額は40万円でも、1台ごとの取得価額が10万円未満で、法人の規程により費用処理する場合には、器具備品ではなく消耗器具備品費として処理します。このとき、補助金収入を施設整備等補助金収益とすると、固定資産がないにもかかわらず国庫補助金等特別積立の検討が必要となり、実態と合わない表示になりかねません。
このように、実態が消耗品費等の費用に対応する補助金であることを証明できるようにしておくことが、専門家の視点から見た確実な実務対応です。
名目は施設整備であっても、10万円未満の備品購入に充てた補助金は、積立金の計上が不要となる場合があります。
・10万円未満の備品は固定資産にならない
・資産にならない場合は「補助金事業収益」で処理する
・この場合、国庫補助金等特別積立金の計上は不要
判断に迷う補助金の処理や、過年度の計上区分に不安がある場合は、ぜひ当事務所へご相談ください。貴法人の状況に合わせた最適な会計指導を行い、安心の運営をサポートいたします。