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船員派遣事業の新規許可を取得しようと準備を進める中で、行政書士の先生や所管の運輸局から公認会計士による監査証明を求められ、お困りの経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。いつ、どのような理由で証明書が必要になるのか、手続の全体像が見えないと不安を感じるものです。
最後までお読みいただくことで、船員派遣事業の許可に不可欠な3つの厳格な財務基準と、監査証明が必要になる具体的なタイミングが明確になります。直近の決算書では基準をクリアできなかった場合の対処法についても、実務的な視点から詳しくお伝えします。
船員派遣事業を適正かつ安定的に運営するためには、派遣される船員の雇用を保障できるだけの十分な財務基盤が求められます。具体的には、以下の3つの基準をすべて満たさなければなりません。
基準資産額とは、資産の総額から負債の総額を差し引いた金額を指します。1事業所あたり1,000万円以上の純資産的な余裕が必要です。
法人の抱える負債に対して、基準資産額が一定以上の割合を占めているかどうかが問われます。負債が過大でないことを証明する指標となります。
手元にすぐ動かせる資金が、1事業所あたり800万円以上あることが求められます。
上記の資産要件は、原則として直近の確定決算書によって判定されます。しかし、以下のような特殊な状況下では、公認会計士による監査証明が必要となります。
⇒前回の決算では赤字などで基準をクリアできなかったものの、その後に増資を行って現在は要件を満たしているケースが該当します。この場合、決算書ではなく最新の月次試算表等に対して監査を受け、現在の財務状況が要件に適合していることを証明します。
⇒設立1年未満で決算を一度も迎えていない法人は、事業開始時の貸借対照表を作成し、そこに対して監査証明を受けることが義務付けられています。
船員派遣事業の許可申請において求められる「証明」は、あくまで公認会計士法に基づく業務です。いくら財務諸表の作成に精通した税理士であっても、監査証明業務(公認会計士法第2条第1項)を行うことはできません。
また、依頼できる公認会計士は、貴社と取引関係のない(独立性のある)公認会計士に限定されており、例えば貴社の顧問税理士(独立性に欠けるため)や貴社のコンサルタントである公認会計士(独立性に欠けるため)には依頼できません。
船員派遣事業の許可申請は、運輸局における審査および実地調査、交通政策審議会の意見聴取の手続を経るため、許可申請は十分な時間的余裕を持って行う必要があります。
公認会計士による証明が必要なケースでは、証明書の取得にも一定の時間がかかります。申請スケジュールを逆算し、早い段階で公認会計士に相談することが不可欠です。
特に増資を伴うケースでは注意が必要です。銀行口座へ資本金を振り込んだだけでは不十分であり、法務局での変更登記が完了していなければ、公認会計士は純資産の増加を公的に証明できません。登記には日数がかかるため、スケジュールには余裕を持たせるよう心がけてください。
船員派遣事業の財務要件は非常に厳格であり、正確な会計処理と迅速な監査対応が事業開始の時期を左右します。当事務所では、派遣事業に伴う監査証明については、制度開始当初から実施しており、多数の実績があるためスムーズに対応しております。申請期限が迫っている場合や要件を満たしているか不安な場合は、ぜひお早めにご相談ください。
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